とのみの
建物は、ときどき設計者の予想を超える景色を見せてくれます。
現地調査で天井裏をのぞいたとき、静かに残されていた土壁と出会いました。
その力強い表情は、この建物が積み重ねてきた長い時間を物語っていました。
新しいものを加えるのではなく、その時間をもう一度暮らしの中心へ戻したい。
この改修は、その想いから始まりました。
大正期に建てられ、その後幾度となく増改築を繰り返してきた住宅は、設計当時には空き家となっていました。
長い年月のなかで新しい材料に覆われ、隠れてしまっていた土壁を再び空間の中心に据えることを考えました。
やむを得ず取り壊した土壁から採取した土は、新たな土壁の材料として再利用しています。
時間を重ねた素材が、形を変えながら再びこの建物を支えていく構成です。
土壁によって包まれた吹き抜けは、この住宅の歴史とこれからの暮らしを静かにつなぐ場所となりました。
カフェへ入ると最初に目に入るカウンターにも同じ土壁を用いています。
無機質なステンレスの天板と組み合わせることで、土が持つ質感や表情、時間の積み重なりがより際立つ空間を目指しました。
カウンターは、お客様を迎える場所であると同時に、この建物の物語を象徴する存在でもあります。
南側のファサードは大きく開き、田園風景へと視線がゆるやかに抜けていきます。
室内と風景を緩やかにつなぐことで、季節や光の移ろいもまた、この建物の一部となります。
古いものをそのまま残すことが目的ではありません。
そこに刻まれた時間を読み取り、新しい暮らしのなかで再び息づく場所をつくること。
土壁は過去の記憶であると同時に、これから始まる時間を受け止める存在でもあります。
人が集い、暮らし、お茶を楽しむ。
その営みが積み重なることで、この建物はこれからも少しずつ新しい風景を育んでいきます。
This house was designed with the theme of harmony with nature. The layout of the building was planned by carefully reading the undulations of the site, the flow of wind, and the way light enters. From the living room, you can see the greenery of the garden, and spend peaceful time feeling the change of the seasons. The exterior is designed in calm tones, making the most of the texture of the materials. The interior has a space structure that gives you a sense of the warmth of wood, with a simple and functional layout that takes into consideration the flow of daily life. We aimed to create a home where the family can gather and cherish the small moments of everyday life.














